2023年にIWCから「インヂュニア・オートマティック 40」が発表されたとき、私は「ついにジェンタデザインのインヂュニアが復活した」と、素直に嬉しく思った。
1970年代のジェラルド・ジェンタによるインヂュニアSLを知る者にとって、あの特徴的なデザインが現代に蘇ったことは、それだけで大きなニュースだった。
もちろん、現行モデルの格子状の文字盤もインヂュニアらしさがあり、これはこれで非常に魅力的なデザインだと思う。ただ、しばらく見慣れてくると、「もう少し昔のジェンタモデルに寄せてほしかった」と感じるファンも少なくないのではないだろうか。
私自身、2010年頃にRef.1832を所有していたこともあり、現行モデルを見たときには、どうしても当時の記憶と比較してしまう。
特に印象に残っていたのが、あのシルバー文字盤の質感だ。
少し光沢を帯びながら、縦方向に流れるヘアライン仕上げ。光の当たり方によって表情を変える、あの独特のダイヤルは、私にとってジェンタ時代のインヂュニアを象徴するディテールのひとつだった。
だからこそ今回発表された「インヂュニア・オートマティック 40 “50th Anniversary”」には、かなり惹かれている。
特にシルバー文字盤は、当時のジェンタによるインヂュニア・ジャンボをかなり忠実に再現しているように感じる。光沢のある文字盤と縦方向のライン、その渋いカラーリング。そしてインヂュニアならではのドイツ時計を思わせる堅牢なプロダクト感。
ジェンタのデザインと、IWCらしい質実剛健なものづくり。
その二つが、今回のモデルでは非常にいいバランスで融合しているように思う。
2023年の復活モデルを見たときに感じた「もう少し昔のインヂュニアに寄せてほしい」という思いに、今回の50周年モデルはかなり応えてくれた。
何より、かつてRef.1832を所有していた身としては、あの頃の記憶を呼び起こしてくれる一本になりそうだ。
写真で見る限りでもかなり期待しているが、文字盤の光沢や縦のヘアラインが実際の光の下でどのような表情を見せるのか。
今、実物を見るのが本当に楽しみな一本である。
Ref. 1832

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